アメリカ・スクリップス海洋研究所の研究チームが、野生サンゴの近接映像を記録し、その一日の様子を初めて詳細に捉えた
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サンゴを傷めない安全な距離に「水中顕微鏡イメージング・システム」を設置し、0.002mm(2μm)の解像度で記録することに成功している。研究は英国ネイチャー姉妹紙のNature Communicationsに発表された
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(動画) サンゴの超近接映像


新しい行動生態の発見

なんとサンゴの「なわばり行動」が見つかった。
2種のサンゴポリプが近接して争う状態を観察すると、「隔膜糸」を体から伸ばして相手を消化しようとするという。非常に興味深いことに、同じ種のサンゴポリプどうしでは、このような攻撃行動は起きなかった

さらに、サンゴポリプどうしがくっつきあう「ポリプのキス」とも言える行動が見つかったが、これが何らかの食物や物質交換のために行われているか、その意味については今後の解明が待たれるとのこと。 このような生きたサンゴの野生での様子が、リアルタイムで映像に収められた


サンゴの衰退の様子

サンゴは、光合成を行う微小藻類である「褐虫藻」と共生しているが、その藻類が脱落すると「白化」という状態になり、死に至る。 今回の観察では、水温が高くなり過ぎると褐虫藻の排出が起きてしまい、サンゴの骨格が白くなり弱っていく、という様子が観察された

さらに、サンゴが弱るとすぐに有害な藻類がポリプに侵入し、最終的にはサンゴを死に至らしめる様子も映像に収められた。 有害藻類は、ポリプ群体の間から尾根のような隆起を形成していき、広がっていくことで、サンゴを圧倒し殺してしまう。 こうした有害藻類による浸食過程の一端が明らかになった

今回、このようなサンゴの白化プロセスまでもが顕微鏡レベルで捉えられたことで、有害藻類が浸食する過程や仕組みの解明につながる。 サンゴの浸食と死亡に対処する方法の開発に、役立つことが期待されるという


Source from Discover Magazine
Translated and summarized by Enigma-Sokuho, July 2016